ウォール街では、「群衆の知恵」は株価の行方を予測する際など、個々の専門家よりも大きな集団の理論が優れているということを意味する。だが、ゲームストップ株の取引を巡る狂乱が示しているように「群衆が暴徒化する」可能性もあり、これは不合理、または賢明さの対極ともいえる。ジェームズ・スロウィッキーは2004年の著書「The Wisdom of Crowds(群衆の知恵=邦題「『みんなの意見』は案外正しい 」)」の中で、家畜品評会の会場にいる人々が集団で雄牛の重量を推測した例を引いている。集団の予想の平均値は、いかなる個々の予想値よりも実際の重量に近い。平たく言えば、群衆は個人よりも賢いということになる。似たような現象が、企業の決算報告を控えたウォール街でも起きる。投資家が企業の増益を予想すると、公式発表の前にその企業の株価を大幅に競り上げる傾向がある。ナショナル・セキュリティーズのチーフ・マーケット・ストラテジスト、アート・ホーガン氏によると、最近、好業績を発表した複数のハイテク企業にこういった現象が起きているという。
ゲームストップ株騒動、「みんなの意見は正しくない?」
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