バラク・オバマ氏が大統領に就任した2009年、米国は金融危機の苦難の真っただ中にあり、即座の行動を必要としていた。対応は早かった。総額8310億ドル(現在の相場で約87兆4500億円)の景気刺激策が、1カ月足らずの期間で議会を通過した。この対策は、ほぼ民主党議員の票だけで議会を通過した。共和党の下院議員は一人も賛成せず、共和党上院議員はたった3人しか賛成しなかった。政治的に見ると、こうした議会対応は、党派対立の傾向を長く残すという結果を招いた。これによって、オバマ政権と共和党議員はその後の諸課題について協力するのが難しくなった。後に残された相互の敵意と不信感は長く尾を引くことになった。そして2021年の現在、首都ワシントンは2009年と似た状況にある。バイデン政権は危機モードの中で成立し、現在直面している新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)には即時の対応が必要だと考えている。その中で特に重要なのが、連邦政府による失業給付の特例加算措置が3月14日に期限切れとなる前に実施しようとしている新たな経済対策だ。この対応はまたしても、完全ないしほぼ完全に民主党議員だけの投票で決められる可能性がある。なぜなら、ホワイトハウスが求めるものと、共和党議員らが必要と考えるものとの間の溝が大きく広がっているからだ。
バイデン氏、超党派協力の希望断つにはまだ早い
民主党票だけで景気刺激策が通過すれば、党派対立色が今後の任期に強く残る危険がある
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