両手に2つの物があると想像してみよう。一つは紙で、もう一つはゴムバンドだ。両手で強く握って離すと、紙はくしゃくしゃなままだが、ゴムバンドは元の形に戻る。経済学者は、経済をゴムバンドのように考える傾向がある。ショックの後、彼らはそれが正常に戻ることを期待している。くしゃくしゃの紙のように元に戻らない場合、それを「ヒステリシス(履歴効果)」と呼ぶ。つまり、何らかの大規模な混乱によって永続的な変化がもたらされることを意味する。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)はその典型的な例だ。果たしてコロナ禍は、経済にどんな永続的ダメージを残すのだろうか。まず目を向けるべきは教室だ、と米スタンフォード大学の経済学者で教育研究者のエリック・ハヌシェク氏とマーガレット・レイモンド氏は話す。コロナ禍で失われた子どもたちの学習時間は、彼ら自身の長期的な将来性だけでなく、米国全体の繁栄にも永続的な悪影響を及ぼす可能性があると夫妻は指摘する。