中国政府は5年ごとに、首都北京が春を迎える頃に新5カ年計画を発表し、主要な経済目標を明らかにする。今年の計画概要には新たに目を引く目標が盛り込まれた。経済全体に占める製造業の割合を「基本的に安定」させることだ。世界的な製造大国が産業の空洞化を懸念するのは奇妙に思えるかもしれない。新型コロナウイルスの感染流行を背景に、中国は世界の輸出市場におけるシェアも伸ばしている。だが実のところ、こうした懸念に根拠がないわけではない。不確実なのは、中国政府が課題に対応する適切な手段を持ち合わせているかどうかだ。大抵の国は所得のはしごを登るにつれ、経済における製造業の割合が低下する。懐が豊かになった市民は、ヘルスケアや娯楽などサービスに払えるお金も増えるからだ。中国では製造業の割合が2010年の32%から20年には既に26%へ低下している。それ自体は問題ではないし、米国や日本などの経済大国を依然としてはるかに上回る水準だ。
中国が製造業の喪失を懸念する理由
製造業の割合「基本的に安定」を目標
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