米国の指導者たちは長年、経済の勝者と敗者を見分けるにあたって、連邦政府ではなく民間市場を信用してきた。一方で、フランスや日本など他国で受け入れられている産業政策は敬遠していた。だが、それも変わろうとしている。ジョー・バイデン大統領と議会与野党は産業政策に切り込み始めた。その鍵を握る実験的分野は半導体だ。米議会は1月、半導体の製造工場新設へ向け州・地方自治体と共に補助金を拠出するほか、新たに大規模な研究開発と研修に資金を提供する支援策を成立させた。議会でのこうした条項の予算計上や、新工場の資本コストを巡る40%の税控除制定はまだこれからだ。ただ、バイデン氏は資金拠出を支持する姿勢を示し、半導体、バッテリー、医薬品、戦略的原料の四業界におけるサプライチェーン(供給網)のぜい弱性を100日間で検証すると発表した。ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)の一員であるピーター・ハレル氏は先月、「国内での生産を奨励するため、さまざまなインセンティブを使っていく」と記者団に語った。