日本の元首相の森喜朗氏は先月、女性はしゃべりすぎるなどとする性差別発言を会合で行ったことを理由に、東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長の座を追われた。同発言をめぐる混乱がピークに達した際、国際オリンピック委員会(IOC)は、彼の発言が「完全に不適切だ」とする声明を発表。男女同権は「極めて重要な基本的人権であり、オリンピック憲章の根本原則だ」として、その権利の推進に関するIOCのこれまでの成果を強調した。しかしIOCには、倫理上の重大な盲点がある。それは2022年冬季五輪のホスト国となる中国での、女性に対する組織的虐待だ。米AP通信は2020年6月、新疆ウイグル自治区のウイグル族などイスラム教徒の多くの女性に対し、中国当局が避妊手術、妊娠中絶、産児制限などを強制していると報じた。2021年1月、マイク・ポンペオ国務長官(当時)は、この行為を含むさまざまな虐待がジェノサイド(民族大量虐殺)に相当するとの判断を示した。160以上の人権団体は、中国の人権侵害を理由に、2022年北京冬季五輪の開催決定を撤回するよう求める書簡をIOCに送った。