新型コロナウイルス危機が過去のリセッション(景気後退)と異なるのは、少なくとも全体で見れば、家計と企業のバランスシートがいずれもうまく危機を乗り越えていることだ。米連邦準備制度理事会(FRB)が11日公表した米国の金融収支に関する四半期報告によると、2020年10-12月期(第4四半期)の家計純資産(米家計の総資産から負債を引いた残高)は122兆9000億ドル(約1京3400兆円)と、19年末の111兆4000億ドルを上回った。対照的に、前回のリセッションでは家計純資産が急減し、回復に何年もかかっていた。こうした違いを生んだのは、資産価値の変動だ。株式は異例の好調ぶりとなっているうえ、歴史的な低水準にある住宅ローン金利や都市部から郊外への人口流出を追い風に、住宅価格も上昇している。だがそれだけではない。普通預金や当座預金、その他の現金同等物の残高も前年同期比21%増の2兆8000億ドルに達した。こうした統計は、消費が減ったにもかかわらず、政府の財政支援が補完する形で所得が増加したことを示している。
米国人の財布、コロナ危機で膨らむ
過去の景気後退とは異なり、家計と企業のバランスシートは良好
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