レックス・グリーンシル氏の会社は、リスク回避を目指す投資家と安全な短期融資をつなぐ真面目な事業を行っていた。ただ、同氏は投機的事業への複雑な投資を好みがちなディールメーカーでもあった。グリーンシル氏のこうしたディールメーカーとしての活動は、最終的にグリーンシル・キャピタルに災難をもたらした。それは規制当局の関心を呼び、ビジネスパートナーらの疑念を引き起こし、重要な保険会社がグリーンシルとの取引から手を引く結果を招いた。グリーンシル傘下のドイツの銀行が当局の管理下に入り、クレディ・スイス・グループが同社関連の投資ファンドを凍結したことを受け、同社は今月に入って経営破綻した。さまざまな資料やグリーンシル氏の事業提案をよく知る人々によると、同氏は過去数年間に、原子力潜水艦プロジェクト向けの資金調達、リスクの大きい新興企業の資金調達、イスラム教徒のメッカ巡礼で利用される施設を改善するための融資といった取引を売り込んできた。