ロシアスパイ暗躍の舞台裏、冷戦時代の戦術今なおPhoto:Anadolu Agency/gettyimages

【ブルガス(ブルガリア)】昨年12月初旬、あるブルガリア国防省高官が省庁内の自分の席に座り、サムスン電子の黒いスマートフォンを取り出した。その男はそれから1時間20分にわたり、コンピューターに保存されている軍機密文書の写真を撮り続けた。その写真はロシアのスパイ組織のリーダーに渡すためのものだとみられ、F16戦闘機など慎重な扱いが求められる重大情報が含まれていた。ブルガリア当局が現場をとらえた動画を公表した。

 北大西洋条約機構(NATO)加盟国のブルガリアは先頃、ロシア政府のために諜報(ちょうほう)活動を行っていたスパイ組織を解体したと明らかにした。NATOや米中央情報局(CIA)、ウクライナ、南コーカサスの係争地ナゴルノカラバフに関する情報を集めていたという。