米中関係は、爆発しかねない危険な問題が埋め込まれた地雷原のようだ。しかし、その中でも最大のリスクは、気付きにくい内容である。それは、中国が米国の力の衰退を過信し、その認識に従って行動することだ。米国と西側諸国のリベラルな秩序全体が長期的衰退の初期段階にあると中国が確信した場合、自信過剰になった中国の指導部が一線を越えて余りにも挑発的になり、米国に強硬な反応を強いる恐れがある。中国のこうした認識は、同国の代表者やメディア組織によって表明されている。南シナ海、通商、とりわけ香港と台湾など、多くの地域や分野でそのリスクが表面化している。実際このリスクを念頭に置くと、バイデン米政権が取り始めた対中政策の多くを説明することが容易になる。バイデン政権の戦略は、中国政府との本格交渉に臨む前に、米国の経済・外交・軍事面の底力を明確に示そうと努めることで、米国が政治的に分断され衰退しつつあるとの中国の主張に対抗するというものである。そのメッセージは「米国の力を見くびるな」という単純明快なものだ。
バイデン氏の対中戦略 「米国弱体化」認識に対抗
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