ジョー・バイデン米大統領のアドバイザーらは、就任以前の段階から、政策イベントや大統領令の署名式、法案の提案について、綿密な段取りを策定していた。就任後3カ月余りの間にこれらの計画が実行に移される中、バイデン氏の発言は概ね彼らが策定したコミュニケーション戦略を反映し、筋書きに沿った内容に終始していた。こうした演出は選挙戦の段階から始まっており、バイデン氏は新型コロナウイルスと経済への対応に絞って発言していた。その結果、対外発信が厳しく管理されているホワイトハウスから情報が流出することは滅多になく、政策の発表効果を最大限に高めるため、報道機関への事前の情報提供は細切れで行われていた。だが、就任から100日を迎え、こうしたコミュニケーション戦略の限界も明らかになりつつある。銃乱射事件から南部国境への移民殺到など、想定外の事態が発生していることに加え、バイデン氏自身が時に「台本」から外れるためだ。