独学ブームの火付け役ともいわれる『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』。本書には東京大学教授の柳川範之氏が「著者の知識が圧倒的」、独立研究者の山口周氏も「この本、とても面白いです」と推薦文を寄せ、ビジネスマンから大学生まで多くの人がSNSで勉強法を公開するなど、話題になっています。
この連載では、著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら(初出:2021年8月24日)
[質問]
Scrapboxを企画メモや勉強のノートを具体的にどうやって活用していますか? 自分でもScrapboxが使いこなしたいので、参考にできそうな本やサイトはありますか?
Scrapboxを使って「知識のビオトープ」を作っています
[読書猿の回答]
これといったやり方は決めてないです。決めないでダラダラ使える、それで何千ページつくっても何とかなる、というのがScrapboxの良いところだと思います。
たとえば、ある企画中の本だと、いろんな専門事典を引いて、テーマやトピックに関係ありそうな項目をまるごとScrapboxへコピペする、というのを3ヵ月位やりました。その後、同じくテーマやトピックに関する解題書誌を調べてコピペ、さらにそうして見つかった論文や書籍もまるごとコピペ。
そうやってコピペして蓄積したものを読み返して、線を引く代わりに[ ]で括ってリンクをつくり、リンク先のカードに思ったこと(感想や思いつき)のメモを取ります。まあ、一種の「自家製の注釈」ですが、これも同じプロジェクトの別ページとして作っていきます。
これは何をやっているかというと、知識のビオトープをつくってる感じです。
ビオトープというのは、例えば穴をほって水を張って植物植えて、いろんな生き物が立ち寄ってくれる空間を作っているものですが、Scrapboxでやっているのは、他の人がつくってくれた知識やデータを配置して、そこに立ち寄ってくれるかもしれない「生き物」すなわちインスピレーションでありアイデアを待っている感じですね。
思いついた言葉で検索したり、これといったリンクをたどったり、あるいはランダム表示をすることで、思いも寄らない文献や事典のコピー、その他の資料、それについて自分が書いたメモに遭遇する。そんなことをやっていると「これとこれは、こうしたら結びつくのでは?」「ここらへんのものは、こんな枠組みでまとめられるのでは?」みたいなことがアイデアとして生まれてきます。
問題があるとすれば、このビオトープも、そこを飛び回る作業も、それ自体がかなり楽しいので、わざわざ本にするまでもないか(笑)、と思ってしまうことです。
勉強の方は、スクショの中国語なんかだと、一番易しそうなテキストを各章ごとに分割してコピペして、これまたScrapboxの上で、調べたことや考えたことを、注をつけていく感じです。
参考図書は倉下忠憲さんの『Scrapbox情報整理術』を。
サイトで参考にしているのは(というほど参考にできてませんが)以下のところです。
https://scrapbox.io/help-jp/
https://scrapbox.io/InterestingProjects/
https://scrapbox.io/rashitamemo/