日本は輸入した石油やガス、石炭をエネルギー源とする産業基盤を軸に世界第3位の経済を築いた。だが今、そのエネルギー源の大きな部分を水素に移行する計画を進めている。水素エネルギーは長年、コストがかかりすぎて効率が悪く、現実的ではないと一蹴されてきたが、日本は世界で最も大きな賭けの一つに打って出ている。日本は今後30年間で事業活動に伴う二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにするという目標を掲げており、そうした移行はその達成に不可欠だ。この賭けが成功すれば、世界のサプライチェーンの基礎作りにもなり、ようやく水素がエネルギー源として台頭し、石油や石炭が一段と脇に追いやられる可能性があると専門家らは話す。水素は過去にも大きな話題を呼んできたが、まだ経済的にも技術的にも克服すべき課題がある。日本のアプローチは何年もかけて化石燃料から徐々に脱却する段階的なプロセスになる可能性が高く、当初はCO2排出量を急激に減らすことにはならないだろう。また、輸入エネルギーへの依存もすぐには解消されない。当初は主に輸入化石燃料から生産する水素を使用する計画だからだ。
水素に賭ける日本、エネルギー市場に革命も
「2050年に排出ゼロ」達成には水素燃料が不可欠 高価で非現実的とみる向きも
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