言わずと知れた天下人・豊臣秀吉。その裏で活躍したのが秀吉の実弟である秀長。来年の大河ドラマ「豊臣兄弟!」の主人公でもあります。農民出身の豊臣兄弟が“血の絆”で戦国乱世を駆け抜け、いかにして立身出世を遂げたのか。新刊『450年前にタイム・スリップ! 豊臣兄弟と天下統一の舞台裏』(青春出版社刊)から、豊臣秀長の激動の人生を紹介します。

そもそも豊臣秀吉の弟って、どんな人?

 豊臣秀吉の弟、豊臣秀長とはどんな人物だったのでしょうか。まずはその人生をざっと振り返ってみましょう。

2026年大河ドラマ「豊臣兄弟!」で主人公の豊臣秀長を演じる俳優の仲野太賀さん 2026年大河ドラマ「豊臣兄弟!」で主人公の豊臣秀長を演じる俳優の仲野太賀さん Photo:SANKEI

 秀長は、秀吉の3歳年下の異父弟で、天文9年(1540)、秀吉の生母の「仲(後の大政所)」と、その再婚相手の「竹阿弥(ちくあみ)」の子として生まれたとみられます。

 その一方で、父も、秀吉と同じく、木下弥右衛門だったという説もあります。

 生まれた場所は、尾張国愛知郡中村(現在の愛知県名古屋市中村区)。兄の秀吉も同地で生まれたので、今、同区の中村公園内の「豊國神社」の境内には、「豊公誕生地之碑」が建てられています。

 1550年、秀長(幼名小竹)が9歳の頃、秀吉が家を出奔します。小竹はその後、小一郎と名乗り、郷里で農業を営んでいましたが、20歳を過ぎた頃、人生が一変します。

 1561年、兄の秀吉が、織田家の家臣・木下藤吉郎となって帰省し、小一郎にも織田家への奉公をすすめたのです。そのとき、秀吉は、足軽頭程度には出世し、地元に若者をスカウトするために帰ってきたとみられます。その求めに応じて、小一郎は兄に従うことにしました。