共通の敵ほど人々を結束させるものはない。米国と欧州連合(EU)は15日、航空機大手の米ボーイングと欧州エアバスへの政府補助金を巡る17年にわたる対立を一時的に終結させることで合意した。米・EUは世界貿易機関(WTO)から総額120億ドル(約1兆3200億円)相当の報復関税を相互に課すことを認められていたが、3月に関税発動の4カ月凍結を申し合わせていた。今回はこれを5年に延長する。これは常に勝者なき戦いだった。ボーイングの支配を確固たるものにし、その後にエアバスの台頭を認めることで、政府援助は商用機業界の競争力をそぐのではなく、むしろ向上させた。航空業界は新型コロナウイルス禍の影響で大きな打撃を受けており、航空会社の多くが公的資金で救済された。そのため、この係争問題を抱えたままにしておくことは、関係者全員にとって危険だった。