◆「心がスッと軽くなった…」転職の繰り返しと大成する人の決定的な違いを分ける、江戸川乱歩のキャリア論
眠れなくなるほど面白い文豪42人の生き様。芥川龍之介、夏目漱石、太宰治、川端康成、三島由紀夫、与謝野晶子……誰もが知る文豪だけど、その作品を教科書以外で読んだことがある人は、少ないかもしれない。そんな人に向けて、文芸評論に人生を捧げてきた「文豪」のスペシャリストが贈る、文芸作品が一気に身近になる書『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』(ダイヤモンド社)。ヘンで、エロくて、ダメだから、奥深い“やたら刺激的な文豪たちの知られざる生き様”を大公開!
イラスト:塩井浩平
29歳でデビュー
芽が出たのは40歳ごろの遅咲き作家
「真の自己」を渇望する果てなき流転
江戸川乱歩は「本当の自分」を追い求めて、いろいろな街に引っ越したり、職業を転々としたりしていたのかもしれません。あるいは別の世界に行くことで、「本当の自分を発見したい」という願望があったのかもしれません。
「何者にもなれない」焦燥が結実する瞬間
近ごろは「何者にもなれない若者たち」などともいわれますが、もし若いころの乱歩が現代に生きていたら、そう呼ばれていたかもしれません。そうやってもがき続けた生き様が、結果として小説家になってから見事に反映され、現代の読者にまで大きな影響を与えて、読み継がれてきたのです。
乱歩に限らず、文豪たちの人生を追いかけていると、どんな選択が、どこで花開くのかわからないとつくづく思います。
【解説】「計画された偶発性」が拓くキャリアの可能性
乱歩の「職を転々とし、ふらふらしてきた経験」は、一見すると単なるキャリアの迷走に思えるかもしれません。しかし、現代のビジネス環境においては、こうした予測不能な経験の蓄積こそが、他者にはない強力な武器に変わります。
キャリア形成における有名な考え方に、心理学者のジョン・クランボルツが提唱した「計画された偶発性理論(プランド・ハップンスタンス)」があります。これは、個人のキャリアの8割は予期しない偶然の出来事によって形成されるというものです。
最初から明確なゴールを持たずとも、目の前の様々な仕事や未知の環境に好奇心を持って飛び込んでいくことで、後に想像もしなかった形で「点と点」が繋がり、独自の強みや専門性へと結実するのです。
「何者にもなれない」時期を焦らず楽しむ力
現代のビジネスパーソンは、「早く結果を出して何者かにならなければ」という焦燥感を抱えがちです。しかし、焦って一つの領域に固執するあまり、自分の中にある新しい才能の芽を摘み取ってしまう危険性もあります。
乱歩の生き様は、「一見無駄に思える経験すら、すべてキャリアの伏線になる」という事実を私たちに教えてくれます。転職や部署異動、あるいは一時的な停滞や挫折でさえも、それはあなた自身のビジネスパーソンとしての厚みを増すための重要なピースです。
もがきながらも変化を恐れず、無数の選択と迷走を重ねる姿勢こそが、結果的に「自分だけの居場所(天職)」へと辿り着くための最大の原動力となるはずです。
※本稿は、『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。









