米連邦準備制度理事会(FRB)は雇用の最大化と物価の安定を追求することが法律で義務付けられている。15日から2日間の日程で重要な政策会合が始まっている中、この2大使命は、インフレ率が急上昇する一方で失業率は高止まりしているという厄介な状況にある。FRBは近年では初めて、板挟みのリスクに直面している。金融引き締めが早すぎれば経済を不況に陥れてしまうし、逆に遅すぎるとインフレの高進を許してしまうという状況だ。こうなるはずではなかった。FRBは昨年夏、新たな金融政策の枠組みを発表した。インフレ率が目標水準の2%を下回り続けていることを受け、2%をやや上回るインフレ率を容認し、平均で2%の水準を長期的に目指すとした。その達成に向け景気の過熱を許容する考えだ。ゼロ近辺の政策金利と債券買い入れが需要を喚起し、失業率が新型コロナウイルス流行前の4%未満まで低下するのを後押しする。これがインフレ率を一時的に2%強へ押し上げる。FRBの想定では、これは数年がかりになるはずだった。
FRBの2大使命、いずれも未達リスク高まる
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