市場では、漸進的な技術改良よりも、困難だが成功すればインパクトの大きい「ムーンショット(壮大な挑戦)」が高く評価されるのが常だ。次世代バッテリー技術「全固体電池」を開発するソリッド・パワー(本社・コロラド州)はこのほど、特別買収目的会社(SPAC)を通じて株式を上場する計画を明らかにした。SPACのデカーボナイゼーション・プラス・アクイジション・コーポレーションIIIが15日、ソリッド・パワーを12億ドル(約1300億円)で買収すると発表。買収で得られる現金と、並行して実施される資金調達ラウンドを含め、合併後の会社の時価総額は現在の株価でおよそ19億ドルとなる。この金額は、既に上場するもう一方の全固体電池企業の時価総額(128億ドル)を大きく下回る。クアンタムスケープ(本社・カリフォルニア州)は昨年SPACと合併し、12月に有望なテスト結果を公表したことで、投資家の群がる企業となった。クリスマス前後には、同社の時価総額が米自動車大手フォード・モーターを抜いた。その後、EV関連企業に対する投資家の熱意が全体的に冷え込んだため、株価は急落したが、それでもクアンタムスケープの時価総額は、まだ売り上げのない同業他社の大半の評価額よりも高い。
EV向け全固体電池、競合2社の評価分かれる理由
投資家は創造的破壊のストーリーを好むのかもしれない
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