「テーパータントラム(緩和縮小へのかんしゃく)」は、「テーパートランキリティー(緩和縮小でも平静)」へと姿を変えた。米連邦準備制度理事会(FRB)当局者が2013年に資産買い入れ縮小(テーパリング)について言及し始めると、金融市場は激しく動揺した。米国債利回りは跳ね上がり、新興国株式やジャンク債(投資不適格級債)は急落。株式市場もボラティリティーが急上昇した。テーパータントラムとして知られる市場の混乱はその後、何カ月もFRB当局者の頭を悩ませ、緩和解除の先送りを招いた。だが、足元ではその正反対のことが起こっている。FRBは新型コロナウイルス禍を受けて導入した資産買い入れ策の縮小について議論を開始したことを示唆したが、市場は落ち着いたままだ。新興国株は年初来5%の値上がりで、ジャンク債の利回りも低下。株式市場のボラティリティーも低下している。つまり、金融市場は冷静に受け止めている。