現在、テレビやYouTubeで圧倒的な人気を集める、ひろゆき氏。
29万部突破のベストセラー『1%の努力』では、その考え方について深く掘り下げ、人生のターニングポイントでどのような判断をして、いかに彼が今のポジションを築き上げてきたのかを明らかに語った。
この記事では、ひろゆき氏に気になる質問をぶつけてみた。(構成:種岡 健)
人間関係で疲弊しているあなたへ
――海外でも「過労死(karoshi)」という日本語が通じると言われます。それについて、ひろゆきさんは、どんな考えを持っていますか?
ひろゆき氏:日本にいる限り、「餓死する」というリスクは少ない状況ですよね? 食べ物と水が手に入るのであれば、病気や寿命でない限り、人は滅多に死ぬことはありません。それなのに、精神的に追い詰められて亡くなられてしまうことがあります。とても悲惨ではありますね。
うつ病などの「精神的な病」の人に対して、「大丈夫だから」「頑張ろうよ」と追い詰めてしまうことが起こってしまいます。それは、パッと見は元気そうに見えてしまうからですね。医師の診断書がないと、嘘をついているようにも見えてしまいます。残業や休日出勤が続いているような人で、疲れや倦怠感があったら、ちゃんと病院に行くことが最優先で重要になります。
その上で、病気の一歩手前で「自分でも考え方をコントロールできる」という状況なら、まだ僕のようなアドバイスでも間に合うかもしれません。とにかく早く「考え方」を変えるようにしましょう。
――どう変えればよいのでしょうか?
ひろゆき氏:精神的な苦痛は人間関係の悩みがほとんどなので、その捉え方を変えるべきですね。ある限定された閉鎖的なコミュニティの中にずっといると、そこでは「変な人を排除する」「自分たちと違う人を矯正する」という力が働きます。
そうすると、「自分はまわりからどう思われているんだろう……」「受け入れられないと生きていけない……」と、視野がどんどん狭くなります。その果てに、最悪の場合、死を選んでしまうのですね。
実は、最初からまったく知り合いがいないような人は、逆に死ににくいんです。無人島に1人で生き延びたり、山奥にこもっている仙人のような暮らしは、実はストレスが少ないんです。他人の目がありませんから。まあ、食料がちゃんとあればの話ですけど。
――人間関係が存在しないからですかね?
ひろゆき氏:そうです。だから、僕の場合、アメリカに留学したときに「知り合いがゼロだった」という状況を経験したことがあるので、「知り合いがいなくても生きられるな」という感覚を覚えることができて自信を持ちました。
1人になる恐怖に怯えて、少ない知り合いやコミュニティ、家族だけに依存してしまうと、一気に人は弱くなってしまうんですね。
過労死するミツバチ
――たしかに、そうやって視野が狭くなっていきそうですね。
ひろゆき氏:そうです。最近、話題になっている話なんですが、世界中のミツバチが過労で死んでいるんですよね。ミツバチ農家がよりお金を稼ぐために、受粉させる目的で他の農家にミツバチを貸し出しているんです。アーモンドの受粉などに使えるんですよ。
ミツバチは働き者なので、近くに花があると、あるだけの蜜を集めようとします。思考が単純なんですよね。目の前に大量のアーモンドの花があれば、どんどんやりがいを求めて、休むことなく働き続けます。その結果、たくさんのミツバチが過労死しています。
――それは知りませんでした……。
ひろゆき氏:その様子は、日本人にも当てはまると思うんですよ。お金を稼ぐことが目的になって、残業代や休日手当をあてにして、休むことを忘れてしまう人がたくさんいます。
他の人が頑張っている様子を見ると、自分も頑張らないといけない気になってきます。そのうち、弱い人から順番に体や心を壊してしまうんですよね。
「お金のために一生懸命に働いて体を壊す」って、本末転倒ですから。ある程度、自分に必要な生活のお金を把握したら、それ以上は働かない選択をするべきです。あるいは、国に頼る道もあります。「家賃補助給付金」や「生活保護」など、少し調べれば個人をラクにする方法がいろいろありますから。
働きすぎのミツバチにならないように、早めに考え方を変えるようにしましょう。
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本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、29万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。