「どん底でも折れない人」に共通する、たった1つの考え方〈風、薫る第103回〉『風、薫る』第103回より 写真提供:NHK

今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラに関する著書を2冊出版し、毎日レビューを続けて12年めの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は第103回(2026年8月19日放送)「風、薫る」レビューです。(ライター 木俣 冬)

決め台詞も言えない

 昨日の続きが気になるーと思ったら、主題歌はじまり。早く本編を。

 だが、クレジットに太田光の名前を発見。栃木編のつぶやきシロー、大島美幸にはじまって、飯尾和樹、シソンヌじろう、丸山礼、横澤夏子などお笑い芸人やタレントの起用がさりげなく多い『風、薫る』。ついに爆笑問題の太田光の登場だ。

 りん(見上愛)がチュウ(若林時英)の店に来る。「シマケンさん最近来ました?」と聞くということは、 第102回の新聞連載開始予定だった日から時間が少し経過しているようだ。

「いつもの」を2つ買って、りんはシマケン(佐野晶哉)の家に。散らかった部屋の本を片付けている様子。「いつもの」をりんから受け取っても、開けずに、横においてしまう。そっけない。

 (小説を)諦めることにしたと、シマケンは言う。

 最初はりんもシマケンも何者でもなかったが、いまやりんは看護婦、シマケンだけは何者でもない人間のままだ。

「シマケンさんが活字工でもお坊さんでも、お相撲さんでも、何者でも、ううん…何者でなくたって構いません。
私には…私にはただいとおしい人です」

 そう言われて、シマケンはりんを抱きしめる。でも――

「それは…僕が言いたかった」

 決め台詞までりんに言われてしまう。立場のないシマケン。

 このとき、りんは動かずじっとして、シマケンにぎゅっと抱きしめられたままでいる。それがかわいく見えた。これぞいとおしい。

 で、結局、シマケンは、何者でもない自分を肯定したのか、どうなったのかわからないまま、場面は恵風看護婦会の事務所。

 しのぶ(木越明)が妊娠して辞めるにあたり、引き継ぎの書類を残していったようで、「いっぱい仕事してくれてたのね」「患者さんの記録も丁寧」と直美(上坂樹里)とりんはしのぶのかけがえのなさを感じている。

 ここで直美の背後の飾り棚の瓶に生けた花に注目したい。