一例として、卸売りセクターは主な事業内容をグローバル経済に連動する形に転換することで、日本経済の低成長という呪縛から脱却を図った業種に挙げられるだろう。
総合商社が大きなウエートを占める卸売りセクターは、トップ企業のメンバーに変わりはないが、その主要な事業内容が変わったことで、株価の変動要因も変化している。現在の主要事業は、産業用金属資源など資源開発の権益からの収益が大きなウエートを占めている。結果としてセクターのパフォーマンスは、グローバルな産業用金属の価格への連動性を高めてきている。
一方で日本経済の抱える構造問題により、株価の成長が抑制されたままのセクター(業界)も珍しくない。日本の人口減少は、長期的なデフレ要因として依然健在である。このデフレ圧力を押し返すために、金融緩和政策が長期間にわたり継続され、日本のイールドカーブはフラット化(長短金利差縮小)した状態が続いている。
海外では銀行セクターに注目の動きも
金融緩和策に終わり見えぬ日本では期待薄か
銀行セクターではトップ企業群や主な事業内容にも変化は見られない。銀行セクターのパフォーマンスは、イールドカーブがフラット化に連動する形で長期的な低迷が続いている。海外の株式市場では、景気回復の動きに連動する株式に注目して、銀行セクターに注目する動きが見られる。
これは景気回復によるインフレ率の上昇とイールドカーブのスティープ化を織り込んだマーケットの動きである。ただ同様のマーケットの反応は、構造的デフレ要因に対処するための金融緩和策に終わりが見えていない日本では期待しづらいだろう。
グローバルな株式市場で、日本株の位置づけは世界経済の動向に敏感なマーケットだと考えている。とりわけハイテク機器、耐久財、資本財などの生産に関連するセクターは、その傾向が強い。今年9月に日本株のレーティングをオーバーウエートに引き上げたのは、政治やコロナ感染をめぐる不透明感が後退し、グローバルな景気動向に敏感な日本株の特性に注目できる環境が整ってきたからである。
反対に日本経済の成長期待の低さから、国内事業のウエートが高いセクターは、注目されにくい状況が続いている。この状況を打破するには、変化をもたらす要因が必要だ。新しいビジネスモデルで成長していく企業や大胆な業容転換を成し遂げるトップ企業が、増えていく必要がある。





