新政権が期待にこたえられるか
経済成長と株価に重要な影響
9月3日、菅義偉首相が退陣する意向を表明した。それをきっかけに、日本株は上昇の勢いを強め、一時、約31年ぶりの高値まで上り詰めた。
支持率低下などで政策運営に行き詰まり感のあった菅首相が、総裁選に出馬しないことが決まり、海外投資家の日本株に対する見方に変化が表れた。また、国勢選挙が実施される直前には、日本株は堅調な展開になりやすいという一種の成功体験もあった。
それらに伴い、それまで日本株の売りに回っていた海外投資家の中には、日本株の割安感や新政権への期待感を理由に日本株を徐々に買い始めた。それとほぼ同時期に、コロナ感染者数が徐々に減りはじめ、経済の正常化に対する期待も盛り上がった。
ただ、期待先行で株価が上げた分、今後、新政権の政策運営に失望感が出るようだと、株価調整の可能性はあるだろう。自民党総裁選の次は衆議院選挙と重要な選挙が続く。新政権がわが国の成長期待を高める産業政策を実施することができれば、株価上昇の展開が続くこともあるだろうが、逆に、投資家の失望感を誘うようだと、株価上昇トレンドの継続は難しいはずだ。新政権がどの程度期待にこたえられるか、わが国経済の成長と株価の展開に重要な影響を与えることになる。