年末にかけての相場環境は、自民党新総裁が誰になったとしてもポジティブと考えられる年末にかけての相場環境は、自民党新総裁が誰になったとしてもポジティブと考えられる Photo:Koichi Kamoshida/gettyimages

半年以上にわたる低迷期から
日本株は抜け出しつつある

 8月最終週以降の日本株は反発の動きを見せ、2月16日に年初来のピークを記録して以降、半年以上続いた低迷期を脱しつつあるように見受けられる。

 特に、9月3日に菅首相が自民党総裁選に出馬しない意向を表明して以降は急反発の動きを見せてきた。

 日本株市場ではしばしば、「選挙は買い」だとされる。正確に言えば、選挙結果が判明するまで株価上昇の傾向となり、その後の選挙で自民党が単独過半数を取るケースでは株高の趨勢が継続。一方、過半数割れのケースでは株価が頭打ちとなる、というのがこれまでの経験則といえる。

 過去の自民党単独過半数のケースでは、いずれも与党が安定多数を確保している。よって本質的には、与党安定多数によって政権が安定し、滞りなく政策が遂行されるという期待が株価上昇につながるのだと考えられる。

 この点を踏まえると、支持率が低迷していた菅内閣の退陣表明に伴い、来る総選挙で与党が大幅に議席を減らして政権が不安定化するリスクシナリオを低下させるものと市場に捉えられ、ポジティブな株価の反応につながったのは自然な動きといえよう。

誰が新総裁となっても
当面の相場環境は良好か

 自民党総裁選に関してはちまたで岸田文雄氏、高市早苗氏、河野太郎氏が有力視されており、その帰趨を現時点で予想するのは困難である。

 しかし、自民党新総裁が誰になるにせよ、人事が一新された状態での総選挙は菅首相続投のケースに比べ、自民党にとって有利になる公算が大きい。次ページ以降はその理由や今後のシナリオ分析に加え、総裁選以外に大きく3つ考えられる日本株の好材料を明らかにしていく。