ジョー・バイデン米大統領が掲げる巨額の歳出計画を巡り、民主党内の左派と穏健派の対立が先鋭化している。米政界のベテラン関係者なら、いつかどこかで見た映画のようだとかすかな記憶が頭をよぎっているかもしれない。実のところ、彼らは経験している――少なくとも、これに先立つ「作品」を目にしているのだ。その「映画」は8年前に公開された。共和党が激しい内部闘争から自ら分裂し、政治的に極めて打撃の大きい政府機関の閉鎖を招いた時のことだ。その後、何よりイデオロギーを重視する新参組が穏健派の党指導部を圧倒した。こうした共和党保守派は、医療保険制度改革(オバマケア)の原資を断つという(失敗に終わった)取り組みについて、国民の支持を得ていると確信していた。これは雇用創出、社会保障、気候変動対策を盛り込んだ3兆5000億ドル(約390兆円)の大型歳出計画を国民が支持していると確信している民主党左派の姿と重なる。