経営陣のコミットメントで
ESGが今後50年・100年の転機に

ESG視点を持った経営で守りから攻めの領域へ

50年、100年先を見据えた時
ESGは大きなチャンス

―新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、多くの企業が経営に大きな影響を受けています。パンデミックは経済にとって、どのような変数となったのでしょうか。今後、ESG投資のあり方はどのような推移を見せるとお考えでしょうか。 

ブラックロック・ジャパン 代表取締役社長 CEO
 有田浩之 氏Hiroyuki Arita
一橋大学経済学部卒業後、1987年に日本興業銀行入行。1999年米ブラックロック入社。2001年日本に帰国。2004年旧野村ブラックロック・アセットマネジメント代表取締役社長兼務。2007年ブラックロック・ジャパン代表取締役社長。2021年4月より現職。

  これはブラックロックが会社として意見を表明していることですが、このパンデミックはESGの流れを確実に加速すると考えています。私たちは2020年、425の機関投資家を対象に調査を行いました。そこでは、「サステナブル(持続可能)が投資プロセスと成果の両面で重要である」と回答した機関が82%に達し、さらに73%の機関が「長期的には投資戦略の中心になる」と回答しています。アンケート結果からも、パンデミックにより、この地殻変動的な変化が加速されることはあっても、阻害されるとは考えられません。非常に大きな変数ではありますが、ESGへの意識の高まりを後押しすることになったと感じています。

―企業経営にとってESGへの取り組みは、「must have」であり、経営にポジティブな影響をもたらす「攻め」の姿勢で臨むべき、というわけですね。

 その通りです。気候変動は地球環境ばかりか、事業活動にとっても大きなリスクではありますが、ESGの視点でとらえれば投資機会でもあるわけです。ESGに関わる企業活動の巧拙は、その企業の資金調達コストに反映されるようになります。懐疑的な姿勢になって、「あれはよその会社のことで、私たちには関係ない」と考えていると、大きな損害を被ることになるでしょう。

 ESGに限らず、これまで非財務情報と呼ばれていた項目の開示についても、積極的に取り組むべきです。もともと数値化が難しい分野ではありますが、ブラックロックではテクノロジーも活用しながら、非財務情報のデータ化と解析にも取り組んでいます。

―ESGの分野で日本企業にどのような期待をしていますか。

 ESGは日本経済にとって非常に大きなチャンスです。かつては繊維から始まり、鉄鋼、造船、化学と重厚長大な産業が国の発展を支えてきました。その後は自動車産業や家電などが経済成長期をリードしてきました。

 私は日本企業が再生可能エネルギーや新しい素材などの開発でポテンシャルを発揮できると考えており、大げさでなく、インターネット産業がいまのアメリカを支えているように、気候変動に即した産業が、あと50年、100年にわたり日本を支える可能性があると期待しています。私たちもその一助になりたいという思いで、引き続き、お客様のサポートを行っていきます。

■問い合わせ先
アビームコンサルティング株式会社
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