サステナビリティ戦略の実行は本業そのもの 脱炭素社会に向けたイノベーションを進める

サステナビリティ×イノベーション

国内最大の店舗ネットワークを展開する小売業者の責任として、国の目標を上回る環境負荷低減やSDGsへの取り組みに挑むセブン&アイグループ。その背景にある使命感と具体的なサステナビリティ戦略について、セブン&アイ・ホールディングス執行役員の釣流まゆみ氏に、アビームコンサルティング ダイレクターの山本英夫氏が聞いた。

社会が持続可能でない限り
企業としての成長は止まる

山本 : カーボンニュートラル(二酸化炭素〈CO2〉排出量の実質ゼロ)達成に向けたサステナビリティ戦略は、すべての企業にとって避けることのできない経営アジェンダとなっています。

 国内だけで約2万2600店舗を展開し、1日に約2240万人の消費者が利用するセブン&アイグループは、いまや社会にとって欠かせないインフラであり、それだけ持続可能な社会づくりに関する責任も大きいのではないかと拝察します。

セブン&アイ・ホールディングス 執行役員
サステナビリティ推進部 シニアオフィサー
 釣流まゆみ 氏Mayumi Tsuryu
西武百貨店(現そごう・西武)入社。西武百貨店池袋本店婦人雑貨部、同販売促進部などを経て、執行役員顧客サービス部長、同池袋本店副店長、同所沢店店長、同東戸塚店店長、同文化プロモーション部長などを歴任後、2019年3月より現職。津田塾大学国際関係学科卒。

釣流 : 私たちセブン&アイグループは、さまざまな社会環境の変化に対応する商品やサービスの提供を通じて成長してきました。

 私たちのビジネスはお客様や社会とともにあるわけですから、社会が持続可能でない限り、私たちの成長も止まってしまいます。ですからサステナビリティ戦略の実行は、私たちの本業そのものだといえます。

山本 : 再生可能エネルギーの調達をはじめとする企業の温室効果ガス削減対策は、日本でも一気に加速してきましたが、セブン&アイグループではかなり早い段階から取り組んでこられましたね。

釣流 : 大きなきっかけの一つが、2011年の東日本大震災でした。従来から取り組みを進めていたLED照明器具や太陽光パネルの設置スピードが、震災以降さらに加速しました。

 セブン−イレブンは約2万1000店舗と国内最大の店舗網を持っているのですから、私たちの取り組みが社会に及ぼす影響はけっして小さくありません。国による期待も強く感じますし、何より、お客様や社会から多くの恩恵を受けている以上、サステナビリティ経営を通じてお返しする義務があります。

アビームコンサルティング ダイレクター
産業インフラビジネスユニット
 山本英夫 氏Hideo Yamamoto
大手エネルギー会社を経て、2001年アビームコンサルティング入社。電力・ガス・石油などのエネルギー供給企業に対して営業・マーケティング戦略、新規サービス構築などの支援を実施。また、エネルギー需要家に対するエネルギーマネジメント改善や新規エネルギー事業立ち上げ支援など数多くのプロジェクトを手がける。

山本 : 一つひとつの店舗は小さくても、2万店舗以上となると、その消費電力は約45億kWhとなり、発電所1基分の発電量に相当します。すべての店舗が省エネに取り組めば、その効果は相当な大きさになりますし、創エネを行えば大出力の電源として機能させることも可能です。

 また、店舗全体のデマンドコントロール(電力需要制御)を行うことで、電気料金を削減したり、電力系統への負荷を軽減したりすることもできます。国内最大の店舗網を活かした取り組みには、さまざまな可能性がありそうですね。

 セブン&アイグループが2019年5月に策定された環境宣言「GREEN CHALLENGE(グリーンチャレンジ)2050」についてお聞かせください。

釣流 : 目指す姿として「脱炭素社会」「循環経済社会」「自然共生社会」の3つを掲げ、具体的な取り組みとして「CO2排出量削減」「プラスチック対策」「食品ロス・食品リサイクル対策」「持続可能な調達」の4つを選定しました。

 それぞれの取り組みについて、2050年までにCO2排出量は実質ゼロ。オリジナル商品に使用する容器は、環境配慮型素材を100%使用。食品廃棄物の発生原単位(売上げ100万円当たりの発生量)を75%削減。オリジナル商品で使用する食品原材料は、持続可能性が担保された材料を100%使用、という目標値を定めています(図表参照)。

 さらに、これらの取り組みを推進するため、テーマ別に4つの「イノベーションチーム」を発足させました。セブン−イレブン・ジャパン、イトーヨーカ堂などの事業会社から役員クラスをリーダーに選出し、グループ横断で取り組みを推進しています。

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