資源価格の上昇による
企業業績への影響はこれから
日本企業が調達している原材料は、そのほとんどを海外から輸入している。このため、「国際市場価格を基準に購入価格を決定」することが多く、「過去の市場価格」を参照している。
一番わかりやすい例が、原油価格に販売価格が連動するガソリンや電気・ガスだ。日本が主に輸入している中東の原油は、ドバイ原油を基準に決められている。ドバイ原油の価格が上昇した時にガソリン価格に反映されるのは1カ月後、電気・ガスの価格に反映されるのはおおむね半年後だ。
金属や化学製品も1カ月~数カ月前の価格を参照して決定されるし、それらを元に製造する金属加工品や樹脂、機械部品の価格に反映されるのはさらに後である。
つまり、足元の価格上昇の影響が本格的に日本企業の業績に影響してくるのは、これからということになる。
ただ「過去の価格を基準に将来の購入価格が決まる」契約の場合、もう既に将来の購入価格が決まってしまっているものも多い。こうなると原材料を調達する企業からすると、調達コスト上昇を回避するためにできることは限られている。
伝統的な無駄をなくすコスト削減や、仕入先と協力し設計を見直しして使用数量を減らす、あるいはより安価な代替品に置き換えるといったことぐらいだろうか。
調達コストの上昇分を販売価格に転嫁することができるなら良い。しかし、好景気であればまだしも、最終消費がそれほど強くないときに供給面の要因でコストプッシュ型の価格上昇となっている場合、最終消費者にそのコスト上昇分を転嫁することは非常に難しい。デフレが続く日本は、コスト上昇分を価格転嫁できない傾向が強い。
結局、まずは市場価格の変動を企業側が負担せざるを得ず、利益が確保できなくなった場合に最終価格に転嫁するというステップを踏むことになる。
このような状態は、例えると火災が起きたときに似ている。
いったん、火災が起きるとまずは粛々と鎮火作業をしなければならない。このとき「この火事で発生する損失を今から補填できないか」と火災保険に加入しようとしたところで、それは無理だ。
つまり、有事発生後に対応する選択肢は限られるため、有事が発生する前にリスクを想定し、リスクを計量化して対策を検討しておく必要があるということである。



