世界景気の指標「ドクター・カッパー」
実は中国の景気動向も示している
銅は自動車や電子部品、電線など幅広い用途がある。そのため、銅価格は景気の状況を表す指標として「ドクター・カッパー」と呼ばれている。
また世界の銅消費量のうち中国が5割以上を占めているため、銅価格は中国の景気動向を示す指標と言っても良いだろう。
銅価格は今年5月には1トンあたり1万1000ドルを目指す展開となり、世界的な景気回復への期待が高まった。
銅の価格が上昇した背景は、新型コロナウイルスのワクチン接種が世界的に進んだことに伴う景気回復への期待と、脱炭素の動きが加速する中で脱炭素系資源としての銅の需要が増加するという観測が強まったことなどが材料として挙げられる。
しかしその後、銅価格は下落に転じている。昨今の価格下落は、投機的な要因が主導したものと考えられる。ただし、中国の景気が減速している可能性も否めない。
そこで、銅の価格が下落した背景を探ってみたい。