コスト要因による価格上昇は
景気減速をもたらす
資源や商品の価格上昇時にもう一つ考えなければならないのが、価格上昇によって景気の減速をもたらすリスクだ。
仮に価格が上昇を続けた場合、時間はかかるが最終消費者にその価格上昇分が転嫁されることになる。好景気による価格上昇であれば、仮に調達コストの上昇分を転嫁したとしてもさほど消費に影響は出ない。
しかし、今回のようにコスト側の要因で価格が上昇している場合は、消費がついていけなくなる可能性がある。商品市場でいうところの「レーショニング(価格上昇が需要を減じること)」の発生だ。レーショニングになると、最終需要が落ち込み景気は減速局面に入る。
だからこそ、FRB(米国連邦準備制度理事会)をはじめとする中央銀行が、金融政策の過剰緩和を解除して徐々に引き締め気味にシフトしていくことで、これ以上の価格上昇が消費を冷やさないようにしているわけだ。
また、今回の価格上昇の一因となった「過剰な脱炭素」が修正される場合も、ある意味リスクの一つだろう。
というのも、世界中の企業や投資家が「脱炭素」をテーマにビジネスを展開し投資を行っているが、今回の欧州のエネルギー危機を契機に「今まで想定していたようなペースでの温暖化対策は回避した方が良い」という意見が出る可能性も十分にあるからだ。
10月~11月に英グラスゴーで行われるCOP26(第26回国連気候変動枠組条約締約国会議)では、長期的な脱炭素方針は維持するとみられるが、何らかの激変緩和措置が取られるのではないだろうか。この場合は穏やかな調整となる。
しかし、仮に支持率が低下している米バイデン政権が来年の中間選挙で敗北し、共和党が議席を回復して「脱炭素の流れに反対する」動きを強めた場合、これまでの流れが逆回転する展開もあり得る。
何事もやり過ぎは禁物、ということだろう。そして、より現実的な脱炭素のロードマップが敷かれ、経済的に無理のない形で環境重視型社会に移行していけば良いのではないだろうか。



