米電気自動車(EV)新興メーカー、リビアン・オートモーティブは、今週予定される新規株式公開(IPO)で約700億ドル(約7兆9500億円)の評価額を目指している。最大の勝者の一人はデトロイトの創業118年の老舗メーカーとなりそうだ。12%の株式を保有する米自動車大手フォード・モーターは、IPO後に70億ドルを超える利益を手にする可能性がある。だがこれは土壇場のどんでん返しの結果だ。2年余り前にはフォードの最大のライバル、ゼネラル・モーターズ(GM)がリビアンに大きな投資を行う手はずを整えていた。フォードがGMを出し抜き、自ら出資するに至った経緯は、伝統的な自動車メーカーがEV時代の主要プレーヤーへの転身を競い合う中で、いちかばちかの勝負が繰り広げられていることを物語る。この争奪戦がクライマックスを迎えたのは、プライベートジェット機内の4時間に及ぶ交渉だった。デトロイト郊外の空港に到着した際には、GM側に見つからないように慌てて車に乗り込む一幕もあった。