フェリックス・カウフマン氏は、はしごの最上段をつかんで運転席にはい上がった。ハンドルを握ると、前方に手を伸ばし、40トンのトレーラートラックのモーターを始動させた。ディーゼル燃料が着火する際に発するノッキング音も、エンジンの音もなく、排気管から黒いばい煙を出すこともない。また、充電されるのを待つ必要がなく、充電スタンドでコードを抜く手間もない。独自動車大手ダイムラーの商用車部門、ダイムラー・トラックで車載ソフトウェアを開発するカウフマン氏は、スタートボタンを押した。電動モーターが回転し始めた。電力を供給するのはバッテリーではなく、水素燃料電池だ。1分もしないうちに時速55マイル(約88キロメートル)の巡航速度に達した。
トラック電動化、焦点はバッテリーvs.燃料電池
来るべき長距離運送の脱炭素化 ディーゼルエンジンに代わるのはどちらか
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