米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレの高進は一時的だと考える理由を説明するたびに、それを否定する経済指標が発表されている。インフレが一時的でないことは明らかだ。10月の消費者物価指数(CPI)は加速し、単月としては1990年1月以来の高水準に達した。新型コロナウイルス流行前の水準と比べても高いため、今春に物価が落ち込んだ反動だけでは説明がつかない。コロナ下でサプライチェーン(供給網)の一部が混乱した、中古車など人気商品の需要が高まった、といった理由だけでは済まない話だ。FRBが1年前に発表した「柔軟な平均インフレ目標(FAIT)」という免罪符ですら擦り切れつつある。残る唯一の説明は、インフレが一過性のものであることに変わりはなく、期待したほど一時的ではないが自然に収束していく、というものだ。投資家はまだこの話を信じているが、FRBが今よりも大きく踏み込んだ政策対応を余儀なくされるリスクは高まっている。
インフレ高進下でのFRBの弁明、もう限界か
インフレが自然に収束しないリスクが高まりつつある
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