米国のアフガニスタン撤退をしくじったのは、ジョー・バイデン米大統領のこれまでで最大の外交政策上の失態だが、少なくとも前任者や世論の動向に従ったと主張することはできる。もしバイデン氏が核の「先制不使用」やそれに等しい政策を採用することで、米国の核抑止力を縮小させるならば、米国の戦略的ダメージは一段と悪化しかねないが、ホワイトハウスにとっては自業自得だろう。トランプ前政権は2018年の「宣言政策」(「核体制の見直し」)において、核攻撃への報復だけでなく、化学兵器や生物兵器といった「重大で戦略的な非核攻撃」を伴う「極限状況」においても、米国は核兵器を使用する権利を有すると述べた。米国が核保有国である限りは、この方針は米国の政策と一貫性がある。