新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が続き、気候変動からインフレに至るまでさまざまな問題が世界を悩ませているにもかかわらず、2021年の金融市場は好調に推移してきた。米株価は全般に急上昇し、大型株、小型株、グロース株、バリュー株など、市場のすべてのカテゴリーの株価が上昇を続けたように見える。しかし過去は序章ではない。投資家が問うべきは、この好調さがこの先も続くかということだ。端的に言えば、その可能性は低い。これまでの市場動向と現在の状況を踏まえると、今後の投資利回りについて現実的見通しを持つことが投資家にとって極めて重要になる。ダウ・ジョーンズ米国総株式市場指数について見てみよう。この広範な米株式市場の指標は12月半ばの時点で年初来24%以上上昇しており、過去5年間の上昇率は年平均で約17.5%となっている。過去10年で見た場合でさえ16%以上だ。これらはすべて、長期的な年平均リターンである9~10%をはるかに上回っている。こうした高リターンを目にしてきた投資家は、その水準を今後の想定の基準に据えがちになる。