欧米スポーツ用品大手の中国販売が消費者の不買運動で失速する中、国産ブランドの安踏体育用品(アンタ・スポーツ・プロダクツ)が急速に存在感を高めている。そもそも、安踏はすでに国内勢としては最大手だった。自社で工場や店舗を管理する強みに加え、自社の広告塔として米プロバスケットボール協会(NBA)のスター選手、クレイ・トンプソン氏と契約したことが奏功。開幕が迫る北京冬季五輪では、公式サプライヤーとして関係スタッフや中国人選手に自社ブランドのスポーツウエアを提供するなど、追い風に乗っている。昨年3月にはさらなる幸運に恵まれた。中国の報道機関やソーシャルメディアのユーザーが、綿花の産地である新疆ウイグル地域の強制労働疑惑を追及する業界団体に加盟する欧米ブランドをやり玉に挙げ、ボイコットを呼びかけたからだ。同団体のメンバーである独アディダスやプーマは、政治的な逆風などを理由に、7-9月期(第3四半期)の中国売上高がいずれも約15%減少したと明らかにした。米ナイキも直近四半期の中国売上高が20%減になったが、サプライチェーン(供給網)の混乱が要因だと説明した。