医者が教える「病気にならない知識と習慣74」

 はじめまして。医師の森勇磨(もり・ゆうま)と申します。この度『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」を出版しました。

 現代は医学情報があまりにも多すぎます。残念ながら、「正しい情報」と「でたらめな情報」がごった煮になっており、かつて私が勤務していた救急現場でも、

・スポーツドリンクやエナジードリンクに糖分が多く含まれていることを知らずに飲みすぎて、重篤な糖尿病になった人

・がん検診を受けず、根拠のない民間療法に頼り、「急な体重減少」や「血便」といった症状を放置して、末期がんの状態で来院される人

・心不全の初期症状を放置した結果、肺に水がたまってしまい、すぐに人工呼吸器をつけなければ数十分で死に至ってしまう状態で救急搬送されてきた人

 病院の「外」でできることをしなかったがために、人生が大きく変わってしまった人をたくさん見てきました。

「病院の外で、やるべきことがあるのではないか?」という思いから、私は現在「予防医学の実務家」と呼ばれる産業医の仕事をしながら、YouTubeなどのSNSを通じて予防医学の情報発信をしています。ありがたいことに、チャンネル登録者数は27万人を超え、「予防医学を専門とした情報発信者」としては、日本一の実績を持っています。

日本が抱える「医療制度の課題」とは?

「病気になってからの」病院へのアクセスのしやすさ、国民皆保険制度による医療費負担の軽減など、日本の医療制度は世界トップクラスです。

 しかし、「病気になる前の」予防医学のアプローチは十分にできているといえず、課題が多いのです。残念なことに、今の日本では、個人個人を病気にさせないことで対価が発生するしくみがうまく機能していません。

 そこでこの度、予防医学のエッセンス(病気の予防、早期発見、再発予防)を集約した『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』を執筆しました。

40歳を越えると、親の介護がのしかかってくる

 40歳を越えると、「両親の介護」も頻繁に話題にあがってきます。親世代は65歳を越えていて、免疫機能が落ち、筋力や骨も弱くなっています。1回の感染や転倒・骨折などでQOL(生活の質)が著しく低下する年代です。

 本書は「親世代(65歳以上)の健康寿命を延ばす」「介護・寝たきり状態にならないための知識」も充実させました。ぜひ親子でシェアしてください。医学的エビデンスの中での「正解」の行動がとれるよう、とにかくわかりやすさ、行動へのつなげやすさを意識しました。あなたの日々の行動に影響を与えることができれば幸いです。

「今、何をすればいいのかすぐ知りたい」という方向けに、『年齢別やることリスト』『40歳以上ならすぐ病院に行くべき「15の症状」』など、巻末資料も充実させています。

 予防医学が1人でも多くの人の健康寿命を延ばし、晩年に「いい人生だった」と思ってもらえる一助となれば、著者として、これ以上の喜びはありません。