【絶対やめて】子どものインフルエンザにロキソニン…その超意外な理由とは?
人生100年時代は、健康こそ最大の資産です。しかし40歳を越えると、がん、糖尿病、腎臓病といった病気を避けては通れません。国立がん研究センターによれば、40~49歳のがん患者数は、30~39歳と比べると3倍以上です(2020年)。もちろん50代、60代と年齢を重ねるにつれ、がん患者数はどんどん増えていきます。
本連載は、毎日の食事から、大病を患ったあとのリハビリまで、病気の「予防」「早期発見」「再発予防」を学ぶものです。著者は、産業医×内科医の森勇磨氏。初の単著『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』を出版し、感染症医・神戸大学教授の岩田健太郎氏が「安心して読める健康の教科書」と推薦文を寄せています。出版を記念し、寄稿記事を特別に公開します。

ロキソニンとカロナール、飲んではいけない人は?
ロキソニンとカロナール。医者がこの2つを処方する際に、どのように使い分けているのかご存じでしょうか。この2つのお薬について、「飲んではいけない人」について詳しくご紹介していきます。
ロキソニンに関しては、喘息を引き起こす可能性がある「アスピリン喘息」という現象があります。これはアスピリン系の薬を服用した際に起こるもので、大人の喘息の5~10%がこのタイプに該当するとされ、意外に多いのです。
また妊娠後期の妊婦さんにもロキソニンは禁忌で、赤ちゃんの心臓周りの血管に異常が出る可能性があるとされているため、絶対に服用してはいけません。さらに、インフルエンザの時に子どもにロキソニンを使うと、インフルエンザ脳症のリスクが高まるため、これも避けるべきとされています。
一方でカロナールはアスピリン喘息を引き起こす可能性が非常に低く、妊婦や子どもでも比較的安全に使用できる薬です。このように、安全性の面ではカロナールの方が処方しやすいという事情があるのです。
市販薬と処方薬は違う?
また市販薬についても補足しておきましょう。市販されているロキソニンSは処方薬と同じ成分で用法用量も変わりません。ただし、市販薬には必ず注意事項が記載されていますので、よく読まずに服用することで思わぬ副作用が出ることもあります。例えば、似たような薬で喘息を起こした経験がある人や、連続使用を避けるべきという点などが挙げられます。カロナールに関しても、薬局ではタイレノールやラックルといった名前で販売されており、これらも効果が期待できる薬です。
最後に、新型コロナウイルスのワクチン接種時の薬の使い方について。副反応が怖いからといって、あらかじめ薬を飲んでおくことは推奨されていません。予防接種の効果に影響を与える可能性があるためです。ただし、実際に副反応が出てから使用する分には問題なく、その際はロキソニンでもカロナールでも構いません。事前に市販薬を準備しておくと安心でしょう。
総じて言えるのは、ロキソニンの方が効果はやや強いものの副作用のリスクも大きく、一方でカロナールは効果はやや穏やかですが多くの人に安全に使える薬だということです。どちらを選ぶべきかは症状や体質、使用する状況によって異なりますので、しっかりと理解した上で正しく使い分けるようにしましょう。
(本原稿は、『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』の著者の寄稿記事です)