環境に優しい事業へ資金提供する「グリーンファイナンス」のブームを主導しているのは、それにふさわしいようには見えない、金融システムの中心に位置する一群の企業だ。帳簿を監査し、債券の格付けを行い、委任投票のアドバイスを提供し、世界の企業の分類を行う大企業が、環境関連の取り組みに何十億ドルもの資金を投じている。これら企業の活動は、脱化石燃料の流れを加速させるかもしれないが、同時に新たな利益相反を生み出す恐れがある。金融業界はこれまでにも利益相反への対処で苦労してきた業界だ。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の推計によると、金融サービス分野の米企業は、グリーン度に関する評価会社やデータ提供企業を買収するため過去2年間に35億ドル(約4040億円)以上の資金を投じてきた。4大会計事務所もまた、ESG(環境・社会・企業統治)分野の事業に力を入れてきた。プライスウォーターハウスクーパーズ(PwC)は昨年、同社の120億ドルの投資計画がESGを中核に据えたものであることを明らかにした。