雑談で空気を感じる
で、トップは何をするかというと、十人の部門長の話を聞くだけで終わりじゃない。
現場に行って、そこで働く百人の顔を見て、「元気?」と聞いて回る。
仕事の話なんて滅多にしない。
世間話とか、「その靴、おしゃれだね」なんて言いながら、若い人たちの様子を観察しています。
現場で働く若手メンバーの顔色がツヤツヤと明るくて、眉間がすっきりと伸びていたら、仕事がうまく回っている証拠。
一万字の報告書よりも、現場で働く仲間の顔つきのほうが、正確にビジネスの状況を反映する。
数字はいくらでもごまかせるけれど、顔色は噓をつけない。
判断材料として、はるかに説得力があるのです。
だから、僕は前職の時には個室をつくらず、フリーアドレスのオフィスのあちこちに出没していました。
雑談して回って、声をかけられたら、立ち話をする。
普段から内部の空気を感じていれば、大きな決断も一瞬でできるんです。
(本原稿は、中野善壽著 『孤独からはじめよう』から一部抜粋・改変したものです)