2021年に2種類の世界史全集が登場した。一つは『岩波講座 世界歴史』全24巻(岩波書店)で、10月から毎月1巻のペースで発売されている。完結はだいぶ先だ。もう一つは『角川まんが学習シリーズ 世界の歴史』全20巻で、すでに全巻発売され、店頭に並んでいる。実は昨秋、岩波の第1巻を買い求めたときに初めて、『角川まんが』の存在に気が付いたのである。読者対象は小学生から高校生だそうだが、大人が読んでも抜群におもしろい。すっかりはまってしまい、全巻を一気に読んでしまった。(コラムニスト 坪井賢一)

『角川まんが 世界の歴史』は
大人が読んでも抜群におもしろい!

 まんが版の世界史全集は、1980年代から複数の出版社が力を入れていた。時折古本屋で昔の端本を格安で購入して読んでいたが、いずれも大きくて重い。手元にある学研版(2016年)も小学館版(2018年)も菊判上製で、紙は厚く、180ページくらいあり、重さは500グラム前後だから手に余る。持ち歩いて読めるしろものではない。子どもは自宅で机に置いてめくっているのだろう。

『角川まんが学習シリーズ 世界の歴史』が、大人の「学び直し」に最適な理由KADOKAWA、小学館、学研などの学習用まんが世界史全集は書店の「児童書コーナー」にある。歴史書やコミック売り場ではないのでご注意を Photo by Kenichi Tsuboi

 豪華で重厚な装幀の全集を茶の間にずらりと並べさせるのは、昔の百科事典ビジネスの発想だが、まんが版の世界史全集も同じだと思っていた。

 しかし、角川版はB6サイズ 、並製で220ページくらい。250グラム程度と従来品の半分である。それでも紙が厚いので少々重いが、持ち歩きはできる。10年以上前には集英社から文庫の『まんが版 世界の歴史』全10巻が出ていたが、文庫だと字が小さすぎて大人には読みにくかった。

 B6サイズの角川全集を探して書店で該当する書架を眺めると、角川は2015年に同じサイズの『日本の歴史』全15巻と別巻4巻を出していた。日本史ではこのサイズで講談社が20年、集英社も21年から出版していたこともわかった。世界史でもこのB6サイズのまんがシリーズが増えるかもしれない。

 岩波講座も角川まんが版も、最大の特色は「グローバル・ヒストリー」の観点で歴史を叙述した点にあるという。高度に専門的な岩波講座と子どもの学習用まんが全集の根本的な違いはさておき、歴史理解のグローバル展開という観点は同じである。