ピークを越えたオミクロン株感染
厳しい対策に疲れ切った有権者

 民主党の州知事が感染防止策の緩和に動いている一因は、ここにきての新規感染者の減少にある。

 昨年末から急速に広がったオミクロン株の感染はピークを過ぎ、1月中旬には7日間移動平均で80万人を超えた1日当たりの新規感染者数も、2月10日には20万人を割り込むまでに急減している。

 一見すると、新規感染者の減少に伴う感染防止策の緩和は、バイデン政権や民主党にとって朗報のようにみえる。有権者が渇望する「平常への復帰」が進めば、11月の議会中間選挙に向けて、政権政党としての成果を誇る好材料になりそうなものだ。

 だが、事はそう簡単ではない。民主党州知事の変心には、延々と続く感染防止策に対する有権者の不満に答えざるを得なかった側面がある。

 事態を放置することで、民主党やバイデン政権の支持率低下が止まらない懸念の方が強いようだ。

 有権者の疲弊は、世論調査に明らかだ。

 1月10日から2月6日にかけて米CNNが行った世論調査では、コロナ禍への対応について、8割弱が「心身ともに消耗している」と答えており、「怒りを感じる」との回答も6割に達している。

 デルタ株が猛威を振るった昨年夏とは異なり、オミクロン株による感染急拡大でも、感染防止策の強化に向けた機運は高まらなかった。

 マンモス大学が1月20日~24日に行った世論調査では、52%が州政府によるマスク着用義務の実施を支持している。かろうじて過半数の支持は得たものの、昨年夏と比べると約10%ポイント低い水準だ。

 ワクチン接種義務に対する支持も、一時ほどではない。米モーニング・コンサルト社が2月6日に行った世論調査では、ワクチン接種義務を支持する割合が54%と、こちらも昨年夏を約10%ポイント下回った。

 接種義務への支持はオミクロン株の感染急拡大の際にも高まっておらず、最近の新規感染者減少に伴って支持は低下が目立つ(図1)。

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「専門家任せ」でバイデン政権は世論とズレ

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