「コロナとの共存」を選ぶ有権者
変化に民主党知事は追随

 どうやら米国の有権者は、民主党支持者も含めて、コロナと共に暮らす道を選んでいるようだ。

 前述のマンモス大学の世論調査では、7割が「コロナが撲滅されない現実を受け入れて、日々の暮らしを再建するべきだ」との見解に同意している。

 こうした有権者の意識の変化に、厳しい感染予防策で犠牲を強いるのは政治的に難しくなった。

 マスク着用義務の緩和に当たり、ニュージャージー州のマーフィー知事は、「有権者は少しでも日常の生活を取り戻すことを熱望している」と述べた。

 同知事は、昨年11月の州知事選挙で、共和党の対立候補に予想外の苦戦を強いられたが、その大きな理由が厳しい感染予防策への批判だったという。

 民主党州知事の変心は、コロナ禍が落ち着いてきた以上に、政治の必然に迫られた結果といえそうだ。

 やはりマスク着用義務を緩和したデラウェア州のカーニー知事は、「ついてくる人がいないようでは、効果的にリーダーシップを発揮できているとはいえない。人々がついてきてくれるように、何とかバランスを取る必要がある」と正直だ。

 バイデン氏と民主党は、かねて厳格なコロナ感染防止策の必要性を提唱してきた。ワクチンの接種義務などに懐疑的な共和党とは対照的で、実際のワクチンの接種率などでも共和党支持者と民主党支持者で大きな差が生じる事態となっていた。

 だが、バイデン大統領の姿勢が世論から急速にズレ始めていることを州知事らは肌で感じ取っているようだ。

出遅れたバイデン政権
「専門家任せ」で世論とズレ

 実はマーフィー州知事らは、昨年末の段階から、コロナとの共存を意識した方針の練り直しをバイデン政権に働きかけていた。

 ここにきて各州で雪崩のようにマスク着用義務の緩和が一気に進んだのは、バイデン政権の反応の鈍さに、民主党知事が耐え切れなくなった結果だ。

 こうした動きに、2月16日になって米疾病対策センター(CDC)が、マスク着用義務の緩和を検討する方針を示唆するなど、軌道修正の動きも出てきた。

 だがそれでもバイデン政権はコロナ対策の修正に逡巡を続けている状況だ。

 「難しい判断だが、おそらく時期尚早だろう」

 バイデン大統領は、2月10日に収録されたインタビューでも、こう述べて、各州で進むマスク着用義務の緩和に慎重な見解を示した。

2月8日の「マスク着用義務の見直しは時期尚早」とするCDCの見解をなぞるように、「(感染防止策の判断は)専門家に従う」との方針が堅持され、厳格なコロナ感染防止策から距離を置くには至らなかった。

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中間選挙を意識して共和党が攻勢

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