米国との関係が数十年ぶりの水準まで冷え込む中、中国はウクライナ危機に関してロシアと足並みを合わせることで、対立する米国との間で時に緩衝材の役割を果たしてきた欧州との関係が悪化しないか警戒を強めている。中国指導部が欧州に対して長年とってきたのが「分割統治」のアプローチだ。ドイツや中東欧諸国など一部の国に対しては、世界第2位の規模を持つ中国経済への市場アクセスや中国による投資拡大を武器に自国寄りに引き寄せてきた。ところが、こうした戦略に加え、中国が経済力などを駆使して自国の利益を損なう国を罰することへの懸念も重なり、欧州連合(EU)内では中国への不信感が急速に高まった。ただEU内では、米中間の緊張増大による余波を回避できるよう、中国に対して中立の立場を探ろうとする機運も依然残っている。