中国のIT(情報技術)株が波乱の展開となっていることを受け、ソフトバンクグループ(SBG)の新規投資に向けた資金力が低下している。その結果、同社が大量保有する中国の電子商取引最大手アリババグループ株の一部を売却するのではないかとの観測が浮上している。アリババなど中国のIT株はこの1年、中国当局による業界の締め付けが原因で大きく下落し、ここ数週間は非常に不安定な展開となっている。米上場の中国株で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数は25日、過去12カ月間の騰落率がマイナス52%となった。アリババは49%安、ソフトバンクは40%下落した。豪MSTファイナンシャルのシニアリサーチアナリスト、デービッド・ギブソン氏の試算では、ソフトバンクは保有株の値下がりに伴い、保有株に対する純負債の割合であるLTV比率が、25%という独自の負債上限に迫る。そのため、新規の借り入れや投資、自社株買いが制限されかねないという。