西側諸国による経済制裁はロシアの金融システムをほぼ完全に寸断した。だが、一つだけ大きな例外が残っている。米クレジットカード大手のビザとマスターカードが今月、ロシア事業から撤退した後も、国内の決済システムは引き続き円滑に機能している。カード大手2社による撤退は西側では極めて大きな影響をもたらすと考えられていたが、現実にはそれに程遠い状況だ。多くのロシア市民にとって、国内での支払いについては、マスターカードやビザが発行したカードが使えなくなることは一度もなかった。決済業界に関する「ニルソン・リポート」によると、2020年末時点でロシア国内でのマスターカード、ビザのカード発行数は1億9700万枚に上る。しかしながら、内情はロシア国内の支払いに限れば、これらのカードは米国の決済システムに依存していない。マスターカードやビザはここ何年も、ロシア銀行(中央銀行)が管轄する国産の決済システムを使ってきたからだ。
ロシア金融制裁逃れの秘策:決済システムの国産化
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