【スティランウェンデル(フランス)】仏大統領候補のマリーヌ・ルペン氏(53)は、フランス軍を北大西洋条約機構(NATO)の指揮下から外すことを望んでいる。また、欧州連合(EU)からフランスの力を取り戻したいと考えている。また、フランス社会の中で移民の居場所を狭めるため、憲法の改正も目指している。
しかし、フランスと世界における同国の位置付けを再定義しようとするルペン氏の計画は、大統領選の選挙運動を通じて同氏が訴えてきたメッセージを定義するものとは異なる。代わりに、生活費の上昇に対する有権者の不満に応えることを選挙戦略の基本に据え、エマニュエル・マクロン大統領に無視されてきたと感じている何百万人もの中間層、労働者層の有権者の支持を集めてきた。
欧州で最も著名な極右一家の継承者であるルペン氏は、かつての工業中心地で、グローバル化の流れで衰退したラ・フランス・プロフォンド(奥底のフランス)と呼ばれる地方を回った。ロシアのウクライナ侵攻の余波でインフレが記録的水準に上昇する中、ルペン氏は、燃料や生活必需品への課税率の大幅引き下げや、企業に対する賃上げ奨励策の導入を約束している。