中国経済にロックダウンの重圧、生産への打撃鮮明にPhoto:Future Publishing/gettyimages

 新型コロナウイルスの感染が拡大している中国で、上海をはじめ産業拠点のロックダウン(都市封鎖)が経済の足を引っ張る構図が鮮明になってきた。自動車販売が大きく落ち込む一方、消費者物価は3カ月ぶりの水準に跳ね上がった。

 中国乗用車協会(CPCA)が11日公表した3月の自動車販売台数は前年同月比10.5%減の158万台となった。コロナ封じ込め策に伴う工場閉鎖や出荷の遅れに加え、ディーラーへの客足が鈍ったことが重しとなった。

 一方、国家統計局が同日公表した3月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.5%上昇と、前年比としてはここ3カ月で最も高い伸びとなった。ロックダウンによって物価が押し上げられたことが要因だ。

 直近のデータは、コロナ対策としての厳格な移動制限が成長を下押ししている実態を浮き彫りにする。エコノミストは中国の成長予想を引き下げており、政府が今年目指している約5.5%の目標実現に懐疑的な見方を示している。

 中国では3月以降、感染力の強い変異株「オミクロン株」の感染急増を受け、上海や深圳市、吉林省といった製造拠点でロックダウンの導入を余儀なくされている。当局の制限措置によって工場は閉鎖に追い込まれ、サプライチェーン(供給網)の混乱がさらに悪化する事態を招いている。