中東・ペルシャ湾岸地域の株式市場が活況に沸き、外国人投資家から資金が流れ込んでいる。エネルギー資源の豊富な湾岸諸国が大規模な政府系企業を公開会社に転換させる動きが加速している上、原油高が同地域に対する関心を一段と高めている。湾岸地域はかつて国営石油会社や活気のない同族企業であふれていたが、今や世界の新規株式公開(IPO)市場における唯一の光明となっている。それ以外の地域では、ウクライナ戦争や世界的な経済成長への懸念からIPO市場がまひ状態にある。原油相場が1バレル=100ドルを超えたのは2014年以来で、当時のサウジアラビア株式市場は外国人投資家に開放されていなかった。大企業や石油会社はほとんど上場されておらず、国際投資家は湾岸地域の取引所をほぼ素通りしていた。現在は1バレル=100ドルの原油価格を背景にサウジとアラブ首長国連邦(UAE)アブダビの株式市場がいずれも年初来で19%余り上昇し、世界の株式市場の中でトップに立っている(ファクトセット調べ)。