インフレは需要の伸びが供給の伸びを上回った結果として起こる。中央銀行は需要サイドへの対策を講じることは可能だ。問題は、中銀が今後、供給ショックが繰り返される世界に直面する恐れがあるということだ。新型コロナウイルス禍に見舞われる前の数十年間は、需要低迷が慢性化し、資本・労働・原材料の供給が無限のように思われた時期で、結果としてインフレと金利はずっと低い水準にあった。それ以降は状況が一変した。需要は堅調で、特に財政・金融支援が手厚い米国の好調ぶりが際立つ。先進国では人手不足が顕著になっている。また、新型コロナウイルス禍に伴うサプライチェーン(供給網)の混乱が続き、直近では中国の状況が深刻だ。一方、ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに、食料品やエネルギーをはじめとする幅広い物不足が起きている。27日にはロシアがポーランドとブルガリアへのガス供給を停止したと発表したことを受け、欧州のガス価格が上昇した。インドネシアは同日、国内の食用油価格を抑えるため、パーム原油の輸出を禁止すると発表した。
露ガス供給停止、インフレ新時代を象徴
戦争・制裁・輸出規制・自然災害がサプライチェーンを脅かし、中央銀行のインフレ目標達成を妨げる
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