――筆者のグレッグ・イップはWSJ経済担当チーフコメンテーター ***  インフレは需要の伸びが供給の伸びを上回った結果として起こる。中央銀行は需要サイドへの対策を講じることは可能だ。問題は、中銀が今後、供給ショックが繰り返される世界に直面する恐れがあるということだ。  新型コロナウイルス禍に見舞われる前の数十年間は、需要低迷が慢性化し、資本・労働・原材料の供給が無限のように思われた時期で、結果としてインフレと金利はずっと低い水準にあった。  それ以降は状況が一変した。需要は堅調で、特に財政・金融支援が手厚い米国の好調ぶりが際立つ。